
朝鮮の詩ごころ「詩調の世界」
チョウセンノシゴコロシジョノセカイ

「時調」は朝鮮個有の定型詩。高麗王朝末期の12、3世紀に生まれ、今日まで800年の歳月を受けつがれてきた。本書で著者は、詩の背後に秘められた数奇な人間劇と人物群像を語りつつ、民俗のアイデンティティを明確に描き出す。民俗の詩歌を知ることが、とりもなおさずその国民性を知り魂を理解する捷路であるなら、本書は、近くて遠い隣国の人々の価値観・人生観を理解するうえでの最適の書である。
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目次
1 「時調」との出合い
解放で出合った朝鮮の詩心/「時調」の発生と形式
2 黄真伊の生涯と「時調」
妓生・黄真伊/徐敬徳との交遊
3 高麗末の懐古歌
「丹心歌」と「何如歌」
4 太平烟月のうた
世宗とハングルの制定/孟思誠の「江湖四時歌」
5 二君に仕えずの思想
「死六臣」の節義歌/士禍・党争と「時調」
6 党争と青鶴洞(ユートピア)
朱子学と「時調」/朝鮮のユートピア
7 「壬辰」「丙子」の時代
青鶴洞後聞記/「壬辰倭乱」と「時調」/「丙子胡乱」と「斥胡時調」
8 王族と妓女のうた
臥薪嘗胆のうた/妓女と「時調」
9 鄭てつの行動と文学
流謫地での生活/党争のさなかで
10 尹善道――闘いと詩
闘争・流配・隠遁の生涯/理想郷を求めて/「時調」の極致「漁父四時詞」
11 残照の詩人たち
英正時代の「辞説時調」/歌壇の形成と時調集の編纂/朴孝寛・安ぶん英と大院君の登場
12 現代の継承者たち
書誌情報
紙版
発売日
1992年04月06日
ISBN
9784061590205
判型
A6
価格
定価:1,046円(本体951円)
通巻番号
1020
ページ数
366ページ
シリーズ
講談社学術文庫