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現象学とは何か フッサールの後期思想を中心として
ゲンショウガクトハナニカ
- 著: 新田 義弘

フッサール現象学は単なる哲学の一方法論ではなく長い西欧形而上学の歴史における本質的な出来事であり、新時代(ポスト・モダン)の哲学の運命を決する特筆すべき事件である。本書は現象学研究の第一人者がフッサールの厖大な原テクストに独自の読みをほどこし、意識と存在・人間と理性・物と世界など現代思想の根本問題に清新な解答を与えようとする。初版刊行以来知識人に多大の感銘を与えた名著の、待望の文庫化。
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目次
●序章 現象学の出発の立場
・1 意識に向けられた存在の問
・2 志向性のイデーと明証理論
・3 時期的区分の試み
●第1章 前期現象学の方法と立場
・1 「イデーン」期までの現象学的構造の展開――カントへの接近とゲッチンゲン学派の離反――
・2 「イデーン」期の現象学的方法――デカルトに沿うて――
1 自然的態度の克服の方法――現象学的エポケー――
2 純粋意識の獲得の方法――現象学的還元
3 志向的分析論の方法――現象学的反省
・3 「第一哲学」における構想の挫折と転回――デカルトから離れて――
1 哲学の「始まり」のイデー
2 非デカルト的方途へ
●第2章 発生的現象学とは何か
・1 発生的現象学の方法――意味の歴史――
1 科学的対象より経験的対象への帰行
2 イデアチオンの方法と自然的世界概念
3 「手引き」の方法
・2 受動性の現象学――経験の分析――
1 先コギトからコギトへ
2 知覚における地平の現象
3 直観の2つの統一
・3 現象学的世界論――根源的自然の発見
1 世界地平
2 世界存在
●第3章 人間存在の問題
・1 人間的主観性の構成――人間と理性のパラドックス――
1 自然と精神
2 人格と他者
3 身体の二重現象
・2 超越論的主観性の匿名性――意識と実存――
1 自然的態度の再検討
2 超越論的事実性とハイデッガー
●第4章 現代の現象学的存在論の問題
・1 「危機」の科学批判――ガリレイへの断罪――
・2 理性の形而上学――フッサールとヘーゲル――
・3 生活世界の問題論――メルロ・ポンティ、シュトラッサーの所論とフンケの反論――
●第5章 最後の思想的境位
・1 絶対的自我と生ける現在――2つの「いま」――
・2 生ける現在のアポリア――反省の挫折と弁証法――
・3 邂逅の現象学
書誌情報
紙版
発売日
1992年07月06日
ISBN
9784061590359
判型
A6
価格
定価:968円(本体880円)
通巻番号
1035
ページ数
254ページ
シリーズ
講談社学術文庫