
自分史-その理念と試み-
ジブンシソノリネントココロミ

歴史形成の主体である民衆とは1人1人の自分であり、自分が自分の歴史を書く自分史の実践こそ、歴史的自覚を促す契機である。著者は自らの追憶や実感だけを愛惜する懐古調の自伝の類を斥け、自分史を根底にすえて民衆史を捉え、民衆史を主軸に同時代史を描くことを提唱する。誰もがかけがえのない自分史を書くことで歴史への主体的参加を果たすべきだと説く『民衆史』に続く注目の文庫オリジナル。
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目次
●第1部 自分史の方法
・1 自分史とは何か
1 自分史の出発点
2 庶民の文章運動
3 自分史の力作 ほか
・2 ふだん記運動と庶民文化
・3 ふだん記の創始者――橋本義夫
・4 自分史をぶっつけよ
・5 地球さすらい人の思想
●第2部 自分史の試行
・1 遠い祖先のこと、母のこと
1 色川党について
2 母の自分史「人生茫々」
・2 廃墟にて
・3 よみがえる研究室
1 青村真明のこと
2 帯金豊のこと
・4 透谷との出合い
・5 六月には重い霖雨(りんう)が降る
・6 私にとっての天皇制研究
・7 めぐりくる八月十五日に
1 戦後30年と私
2 戦後民衆意識の流れ
・8 戦後回想
1 さまよう魂
2 思いつめた日々
3 朱金色の海光の中に ほか
・9 水俣と私
1 水俣病に立ち向かう学者グループ
2 “混沌の海”へ
3 不知火海の離島上映班 ほか
書誌情報
紙版
発売日
1992年10月05日
ISBN
9784061590472
判型
A6
価格
定価:812円(本体738円)
通巻番号
1047
ページ数
248ページ
シリーズ
講談社学術文庫
著者紹介
装丁: 蟹江 征治(カニエ セイジ)