
近世日本の科学思想
キンセイニホンノカガクシソウ

江戸時代の天文暦学・医学・和算学を通観し、わが国の科学思想の特質が空間的法則よりも時間的変化を重視するものであることを著者は具体的に説く。すなわち幕府天文方・渋川春海は西洋流の永久的天体法則は幻想であり、万物は流転すると観じたし、『解体新書』以前の医者は解剖による局所の分析を排して動態的・全体的な治療を旨とした。功利主義に傾きがちな日本人の科学観に歴史的反省を促す好著。
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目次
第1章 天文家の弁
・魔術と科学
・西洋の法則志向性と中国の歴史志向性
・日本暦学の開祖、渋川春海 ほか
第2章 医者の発想
・胸で考える発想
・解剖とエネルゲティーク
・医学における理論と治療 ほか
第3章 算家の世界
・ロイアル・ソサエティと和算家
・学と芸を分かつもの──序文的装飾
・社会における位置 ほか
第4章 幕末から明治へ
・幕末の洋学
・幕末天文方
・医者の社会的地位 ほか
書誌情報
紙版
発売日
1993年09月06日
ISBN
9784061590939
判型
A6
価格
定価:855円(本体777円)
通巻番号
1093
ページ数
270ページ
シリーズ
講談社学術文庫