
せりふの構造
セリフノコウゾウ
- 著: 佐々木 健一

絵画が色と形の芸術であり、音楽が音の芸術であるのと同じ意味で、演劇は言語の芸術である。それは話す人のいる世界を再現するという点で、文学以上に高度の言語芸術であると言える。〈詩的言語〉に比べて、これまで論じられることの少なかった〈劇的言語〉。今世紀の言語学・記号論の飛躍的発展を踏まえ、ギリシア悲劇から現代劇に至る様々な劇的言語=せりふの類型と構造を定義・分析した意欲的論考。
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目次
序論 アイロニーの構図
1 課題とその過去
2 2層のコミュニケーションと劇的アイロニー
第1章 モノローグの諸相
序 何よりもまずモノローグを
1 モノローグの定義
2 モノローグの種類
3 モノローグの完結性と幕切れ
4 モノローグの原点と約束事の削減
5 劇場の詩情と迫力
第2章 劇作家の臨在
1 傍白とモノローグ
2 裂目としての傍白
2 長台詞
4 デュオと二重モノローグ
第3章 祝典の言葉
序 第3の言葉
1 祈り
2 うた
3 事件報告(recit)
4 宣言と演説
5 口上
6 祝典の言葉
第4章 モノローグからディアローグへ
1 ディアローグの意味論的構造
2 会議と議論
3 ディアローグとディアレクティーク
4 ディアローグと芸術的意図
5 言葉と心の空間
6 言葉と空間の対応
7 現実としての言葉
第5章 沈黙とパロール
序 演劇と沈黙
1 図柄の反転
2 沈黙と間
3 身振りと言葉
4 劇場の沈黙と世界の沈黙
結論 言語芸術としての演劇
1 台詞の構造――自然と約束事
2 台詞の類型――状況のゲシュタルト性
書誌情報
紙版
発売日
1994年03月04日
ISBN
9784061591189
判型
A6
価格
定価:1,004円(本体913円)
通巻番号
1118
ページ数
330ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
’82年9月筑摩書房刊行