
現代情念論
ゲンダイジョウネンロン

人間の非合理的、無意識的機能としての感情=情念が、いかに現代社会を動かしているのか。第1編「社会化された情念」では、合理主義文明のなかでなぜファシズムがむき出しの力を振るうのかを考察し、現代人の心の深層をフロイト、ユングの理論で分析。第2編「伝統とナショナリズム」では日本的心情としての天皇制に論及する。論壇第一線での注目すべき労作も収録した中村哲学の原点をなす必読の書。
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目次
●第1編 社会化された情念
1 情念論の現代的意味
2 情念論社会化の方向──アラン・サルトル・フロイト
3 現代人と心の深層──フロイトとユングにふれて
4 コミュニティと民主主義──深層心理学とマルクーゼを手掛りに
5 美と政治との感性的基礎──サルトル「ジュネ論」にふれて
●第2編 伝統とナショナリズム
6 哲学の日本的錯覚と幻想
7 マイナス伝統論
8 ナショナリズムと日本の思想・文化
9 われわれの中なる天皇制──『風流夢譚』にふれて
10 ロシア革命の反世界──ドストエフスキー
●第3編 情念と美と政治とをめぐる問題
11 「六号室」(チェーホフ)の美学
12 現代のアレゴリーとイヨネスコの『犀』
13 二つの死
14 小林秀雄における美意識と政治
15「国を愛する」ということ
●第4編 批判とドラマにおける情念
16 情念・悪魔・権力──A・ミラーの『るつぼ』の「魔女狩り」にふれて
17 ドラマの不在──前衛劇・チェーホフ・日本人
18 笑いと批判的精神──情念論的観点からの一試論
●第5編 情念・制度・パトスの知
19 近代原理を相対化するもの──唐木順三の近代批判と〈パトスの知〉
20 日本の哲学のアポリアと私の歩み
書誌情報
紙版
発売日
1994年08月04日
ISBN
9784061591394
判型
A6
価格
定価:1,068円(本体971円)
通巻番号
1139
ページ数
408ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
『増補 現代情念論』勁草書房1969年刊行
著者紹介
解説: 久米 博(クメ ヒロシ)