
昔話のコスモロジ-
ムカシバナシノコスモロジーヒトトドウブツトノコンインタン
- 著: 小澤 俊夫

日本を始め世界各地の昔話に数多く見られる人間と動物との婚姻譚。パートナーとなる動物はどこから来るのか。日本の夫は去ってゆく妻をなぜ追いかけようとしないのか――昔話の研究家として知られる著者が、「つる女房」や「天人女房」「ばら」など各国の異類婚姻譚を詳細に比較考察して昔話の本質を追究。他の民族とは異なる昔話をはぐくんできた私たち日本人特有の文化や民族性を解きあかした好著。
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目次
●序章 民話の比較研究
昔話・民話とは何か/民話の比較研究の必要性と可能性
●第1章 ひとと動物との婚姻譚――動物の夫
・1 動物が、あることの代償として娘を要求する
日本の異類婚姻譚の比較研究/日本の異類婚の例――猿婿入り/「猿婿入り――畑打ち型」 ほか
・2 夜の来訪者
『古事記』の「三輪山伝説」/昔話としての「蛇婿入り」/ヨーロッパには見あたらない話型 ほか
・3 神の申し子
「たにし息子――打出の小槌型」/たにしを拾う語り方と生む語り方/娘と父親の世俗的判断 ほか
●第2章 ひとと動物との婚姻譚――動物女房
・1 動物が娘の姿で妻にくるが、正体を見られて去る
「つる女房」/ことばにしないで別れを味わう/自然な変身 ほか
・2 動物が娘の姿で妻になり、正体を暴露されて怒って去る
「虎女房」/「天人女房」との構造的類似/夫にとって別れは悲しいものではない ほか
・3 動物が娘の姿をしているとき、むりに妻にされる
「天人女房」/妻は羽衣を発見するとすぐに去る決心をする/妻を探索にいく話 ほか
・4 第1章と第2章のまとめ
民話の比較研究/これまでの分析の整理/ヨーロッパの異類婚姻譚の特徴 ほか
●第3章 異類婚姻譚からみた日本昔話の特質
異類パートナーは来訪する/来訪したパートナーは何をするか、その結果何が起きるか/「つる女房」 ほか
書誌情報
紙版
発売日
1994年10月04日
ISBN
9784061591462
判型
A6
価格
定価:990円(本体900円)
通巻番号
1146
ページ数
264ページ
シリーズ
講談社学術文庫