
現代社会論
ゲンダイシャカイロンシジョウシャカイノイデオロギー
- 著: 佐伯 啓思

1980年代から盛んになった市場経済の高度化は既成の歴史の知恵や伝統の権威を拒否して、市場が価値を決定することがむしろ当然とする、ポスト・モダニズムをもたらした。その核心にあるニヒリスティックな価値についての相対主義的態度は、われわれの社会に大きな影響を与えている。情報化社会が到来し、さらなる高度産業化が進展する今日、「市場社会」のイデオロギーを根底から問う刮目の書。
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目次
●序章 世紀末の産業文明
●第1章 専門的知識論――「戦い」としての社会科学
1 産業社会と「専門主義」
2 「事実」と「真理」の消失
3 産業社会の変化 ほか
●第2章 遊戯的知識論――ポスト・モダン時代のソフィストたちへ
1 ポスト・モダン時代の知識
2 遊戯的知と自由
3 知のハイパー・ゲーム ほか
●第3章 政策的知識論――大衆社会における知識と政策
1 「政策的知識」とは何か
2 社会の自己回帰的構造
3 市上社会の変容 ほか
●第4章 ポスト産業社会論――スペクタクルとしての消費社会
1 産業社会論の到来?
2 新しい消費現象
3 文化の商品化 ほか
●第5章 高度市場社会論――80年代自由主義の危機
1 70年代の自由主義の復位
2 〈メカニズム〉としての市場
3 60年代の〈自己調整的市場〉 ほか
●第6章 80年代社会論
1 価値破壊と高度市場社会
2 バブルとポスト・モダニズム
3 80年代の教訓と「冷戦以降」
書誌情報
紙版
発売日
1994年12月27日
ISBN
9784061591608
判型
A6
価格
定価:990円(本体900円)
通巻番号
1160
ページ数
294ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
『産業文明とポスト・モダン』筑摩書房1989年5月号刊行