
現代日本の感覚と思想
ゲンダイニホンノカンカクトシソウ
- 著: 見田 宗介

人がひとつの思想を見出してそれに共感するのは、その思想に呼応し共振する感覚があるからである。この感覚は、様々な社会構造とその変動を通して得た経験によって形成される。1960年代に始まる高度経済成長は、日本の社会構造を根底からゆさぶり、日本人の精神感覚を、さらに思想を大きく変容させた。現代日本社会の構造と経験と感覚と思想とが、互いに規定し合い変容してゆく仕方を描く好著。
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目次
1 現代日本の感覚変容
――夢の時代と虚構の時代
1.「理想」の時代…プレ経済高度成長期
2.「夢」の時代…経済高度成長期
3.「虚構」の時代…ポスト経済高度成長期
4.補 愛の変容/自我の変容…現代短歌の感覚と思想
2 現代日本の思想の全景
――夢よりも深い覚醒へ
1.現代の死と性と生…フェミズムとエコロジー
2.「新しさ」からの解放…ミーハーは前衛を脱ぐ
3.離陸の思想と着陸の思想…自己解放の2つの方向
4.井の中の蛙の解放…現代世界の地殻変動
5.強いられた〈旅〉…「外部」という思考の渇き
6.草たちの静かな祭り…「人間主義」の限界線へ
7.間身体としての家族…現代社会の健康と空虚
8.都会の猫の生きる道…教育という視点の彼方
9.夢よりも深い覚醒へ…色即是空と空即是空
10.歴史の鏡・文化の鏡…3つの40年の対照
11. 現代日本の自己探究…アイデンティティの現在
12. 近代を駆けぬける身体…〈私〉はどこにあるか
13.欲望する身体の矛盾…〈私〉はいつ死ぬか
14. 石の降りそそぐ時…大衆社会の共同幻想
15. 世界が手放される時…戦後理念の地崩れの後
16.週末のような終末…軽やかな幸福と不幸
17.抽象化された生命…食から農業問題を見る
18.超越を超越すること…宇宙から折り返す視線
19.言説の鮮度について…教育のことばの困難
20.非情報化/超情報化…安全という言説の危険
21.差異の銀河へ…国境を超える2つの仕方
22.国際化都市の光と闇…東京・1986年
23.沈められた言葉たち…水俣・1986年
24.白いお城と花咲く野原…幻想の相互投射性
25.「政治」と〈政治〉の間…政治を語ることば
26.ガラス越しの握手…関係の客観性の磁場
27.近代の2つの衝迫…「ポストモダン」の逆照射
28.世界を荘厳する思想…明晰による救済
書誌情報
紙版
発売日
1995年04月04日
ISBN
9784061591714
判型
A6
価格
定価:836円(本体760円)
通巻番号
1171
ページ数
232ページ
シリーズ
講談社学術文庫