
人格の精神分析学
ジンカクノセイシンブンセキガク
- 著: ロナルド・フェアベ-ン ,
- 訳: 山口 泰司

精神分析学の歴史に〈対象関係論〉の礎石を据えた人として知られるフェアベーン。本書では人格の核心、即ち自我から出発することによって、自我を支えてくれる対象に必死で迫ろうとする自我自身の悪戦苦闘のさまを詳細綿密に論じる。人格における分裂的要因から独自のスキゾイド・パーソナリティー論を展開した。精神分析医としての豊富な臨床例をもとに、独創的視点で人格を分析した画期的論考。
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目次
●第1部 人格の対象関係論
第1章 人格における分裂的要因
1 部分対象(身体器官)に向かうオリエンテーションを生み出してしまう傾向
2 リビドー的態度のうちに見られる、与えることに対する受けとることの優位
3 リビドー的態度のうちに見られる体内化的要素 ほか
第2章 精神病と精神神経症の修正された精神病理学
1 リドビー理論そのもののうちに潜む限界
2 対象への依存の性質に基づいた発達的対象関係論
3 乳児的依存から大人らしい依存への移行的段階──その技術と精神病理学 ほか
第3章 抑圧と、悪い対象の回帰(とくに戦争神経症に言及して)
1 対象関係の重要性
2 抑圧されるものの本質
3 抑圧される対象 ほか
第4章 対象関係から見た内的精神構造
1 対象の内在化に対する原理的説明としての対象関係の心理学
2 衝動心理学とその限界
3 構造心理学と構造の抑圧 ほか
第5章 対象関係と力動的構造
第6章 人格の対象関係論にいたる発展的な歩み
第7章 人格構造に関する著者自身の見解の発展の概要(抜粋)
●第2部 臨床的論文集
第1章 ある女性患者のいだいた宗教的幻想に関する覚え書き
第2章 一人の生殖器に異常のある患者の分析に見られたいくつかの特徴
第3章 分析治療中の患者たちに及ぼした国王陛下の崩御の影響
第4章 戦争神経症──その本質と意義
1 外傷的要因
2 乳児的依存の要因
3 分離不安 ほか
書誌情報
紙版
発売日
1995年04月04日
ISBN
9784061591738
判型
A6
価格
定価:1,485円(本体1,350円)
通巻番号
1173
ページ数
452ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
1992年8月文化書房博文社から刊行