
昔話の民俗学
ムカシバナシノミンゾクガク

庶民の素朴な心情が率直に語られている昔ばなし。本書は、昔ばなしが、民話や神話・伝説とはどう違うかという本質論から出発し、昔ばなしの民族・地域・時代・世界性を論究、さらに異郷譚、小子譚(ちいさこばなし)、遊魂譚などに分類して、その中に日本人の思想や生活文化の特質が如実に反映されていることを実証する。日本人の心のふるさとと言われてきた昔ばなしを、新たな視点から解釈した待望の昔ばなし民俗論。
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目次
●序 昔ばなしと現代
1 昔ばなしの再評価
2 昔ばなしと郷土
3 昔ばなしと民俗学
4 昔ばなしの応用
●1 昔ばなしの本質
1 昔ばなしと民話の違い
2 昔ばなしと神話・伝説の区別
●2 昔ばなしと民族性──天人女房譚(てんにんにょうぼうたん)の原態
1 民族の心のふるさと
2 昔ばなし「天人女房」にみる民族性
3 七夕の伝承と習俗にみる民族性
●3 昔ばなしの地域性と時代性
1 地域性について
2 時代性について
3 日本昔ばなしの特色
●4 昔ばなしの世界性──継母の継子いじめばなしの例
1 日本の継子譚(ままこばなし)
2 世界各地の継子譚
3 世界共通のモチーフ
●5 異郷譚(いきょうたん)──日本人の他界観
1 異郷人歓待(かんたい)
2 異郷譚
3 竜宮譚──海底との往来
●6 小子譚(ちいさこばなし)──一寸法師・桃太郎・竹の子童子など
1 一寸法師
2 小子譚──一寸法師譚の原型
3 小子譚の特性
●7 遊魂譚(ゆうこんたん)──霊魂のはたらき
1 日本人の死霊(しれい)と生魂(せいこん)
2 魂の入れかわり
3 夢買長者のはなし
4 背守(せまも)りと背紋
●8 笑いばなし
1 笑いばなしの本質
2 笑いばなしの諸類型
●9 動物昔ばなし
1 人間と動物の交渉
2 動物昔ばなしの類型
●10 昔ばなしの研究──昔ばなしを研究する人びとのために
1 昔ばなし研究の手引
2 昔ばなしの分類
3 研究のための文献
書誌情報
紙版
発売日
1996年05月10日
ISBN
9784061592292
判型
A6
価格
定価:1,012円(本体920円)
通巻番号
1229
ページ数
308ページ
シリーズ
講談社学術文庫