
昭和期日本の構造
ショウワキニッポンノコウゾウニイテンニイロクジケントソノジダイ
- 著: 筒井 清忠

昭和期の戦後・戦中期の日本の政治・社会をその深部から解明するために、この時代を中心的に動かした軍部、とりわけ陸軍を構造的に分析。著者はまず日本ファシズム論についての素朴な疑問から出発、陸軍の中枢部でのエリート派閥抗争を概観し、また昭和陸軍の原型に迫る。さらに、近代日本史上最大のクーデターである二・二六事件を徹底的に考究。激動の昭和を歴史社会学的に考察した画期的論考。
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目次
●第1章 「日本ファシズム」論の再考察――丸山理論への一批判――
・1 ファシズムの概念
・2 「軍国支配者の精神形態」再考
・3 「日本ファシズム」のイデオロギー的特質 ほか
●第2章 戦間期日本における平準化プロセス――思想集団の社会史――
・1 「平準化」の物質的・制度的基盤
・2 平準化思想の原型
・3 思想集団の社会史
●第3章 昭和の軍事エリート――陸軍官僚制の内部過程――
・1 「長州の陸軍」から二・二六事件まで
・2 二・二六事件から対米開戦へ
●第4章 昭和陸軍の原型(プロトタイプ)――バーデン・バーデンから一夕会まで――
・1 バーデン・バーデンの盟約
・2 二葉会――「同志の結集」
・3 木曜会――若手幕僚との結合 ほか
●第5章 日本型クーデターの構想と瓦解――二・二六事件研究1――
・1 青年将校運動の2類型
・2 「ソビエット革命武装暴動指導要領」
・3 天皇観・権力観とクーデター戦術 ほか
●第6章 日本型クーデターの政治力学――二・二六事件研究2――
・1 クーデターのインパクト
・2 クーデター計画の構成
・3 クーデター成否の分岐点 ほか
●第7章 昭和軍事史の断面
・1 二・二六事件後の陸軍官僚制
・2 政党政治と陸軍――昭和14年秋
●付章 昭和超国家主義の断面
・1 昭和超国家主義運動の天皇観
・2 北一輝研究の諸問題――『北一輝著作集』全3巻をめぐって
書誌情報
紙版
発売日
1996年06月10日
ISBN
9784061592339
判型
A6
価格
定価:1,068円(本体971円)
通巻番号
1233
ページ数
396ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
昭和59年8月、有斐閣より刊行