
モ-ツァルト考
モーツァルトコウ
- 著: 池内 紀

モーツァルトには、さまざまな顔がある。むろん、彼は神童だった。生活無能者である反面、一介の音楽家という職業で生きた最初の人だった。あるときは子供のようにうつけた顔でウィーンの街頭に佇んでいる。旅の途上にいる……。フランス革命によって幕をおろした華やかな18世紀西欧文化を一身に体現した、時代の申し子としてのモーツァルト。誕生から死まで、その尽きせぬ魅力のすべてを語る。
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目次
●第1章 時代の申し子、時代の頂点
1 ゆるやかな文化共同体
2 18世紀の文化遺産
3 人生は楽しむものだという認識 ほか
●第2章 「小さな大人」の旅の日々
1 ザルツブルクという町
2 「恋シキ南ノ太陽」
3 小さな、しかし完成された大人 ほか
●第3章 手紙のなかの天才
1 旅、旅、そしてまた旅
2 いとしいベーズレちゃん、ウンコしなさい
3 手紙は耳で楽しんだ ほか
●第4章 ウィーン時代とフリーメイソン
1 カンテラ小僧の話
2 引っ越し魔にして派手好み
3 フリーメイソンとは何か ほか
●第5章 オペラの魅惑
1 「イドメネオ」――天才が愛着したオペラ・セリア
2 「後宮からの誘拐」――こころよい若々しさ
3 「フィガロの結婚」――無個性の美しさ ほか
●第6章 死の1年
1 経済的窮迫の謎
2 借金、借金、そして「レクイエム」
3 デスマスク
書誌情報
紙版
発売日
1996年08月09日
ISBN
9784061592445
判型
A6
価格
定価:968円(本体880円)
通巻番号
1244
ページ数
234ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
『モーツァルトとは何か』の表題で’91年12月、文藝春秋より刊行