中国的レトリックの伝統

中国的レトリックの伝統

チュウゴクテキレトリックノデントウ

講談社学術文庫

本書は、レトリックに見る中国人独特の思考とその生き方を探ろうとするものである。古くは「建安七子」の1人で悪口(あっこう)のレトリックの名手・陳琳(ちんりん)、杜甫(とほ)以前の中国最大の詩人と目される曹植(そうしょく)から革命家・毛沢東までを取りあげ、彼らの巧みな表現、言い回しとその発想を読み解く。さらに現在日本の文学者のなかで、高橋和巳、武田泰淳ら中国的レトリックを自在に駆使した作家への影響をも明らかにする。


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目次

●1 政治的レトリックの伝統――中国口舌徒瞥見(くぜつとべつけん)
・悪態の美学――陳琳について
・曹操論
・阮籍小論(げんせきしょうろん)――「詠懐詩」を中心として
・変革のパトス――毛沢東の文体と発想
●2 文学的レトリックの伝統――中国表現者瞥見
・文心雕龍論(ぶんしんちょうりゅうろん)――その文学の根本的原理への道程
・曹植の世界――詩を中心として
・乱世の女たち――「世説新語」の世界から
・中国白話短篇小説の展開――「喬太守 鴛鴦の譜を乱め点めること」を素材として
・中国近世短篇小説集『三言』のこと
●3 日本文学への影響――その1断面
・高橋和巳と中国文学
・武田泰淳と中国文学
・花田清輝のレトリック――ホモ・プロ・セの精神

書誌情報

紙版

発売日

1996年08月09日

ISBN

9784061592452

判型

A6

価格

定価:898円(本体816円)

通巻番号

1245

ページ数

296ページ

シリーズ

講談社学術文庫

初出

1987年4月、影書房から刊行

収録作品

  • 作品名

    悪態の美学

    初出

    1985年10月

  • 作品名

    曹操論

    初出

    『中国文学報』(京都大学)1972年10月

  • 作品名

    阮籍小論

    初出

    『入矢教授 小川教授退休記念論文集』所収1974年10月

  • 作品名

    変革のパスト/1985年8月

    初出

  • 作品名

    文心雕龍論

    初出

    『対話』1968年8月

  • 作品名

    曹植の世界

    初出

    京都大学修士論文1968年1月

  • 作品名

    乱世の女たち

    初出

    『北国新聞』1983年7月16日

  • 作品名

    中国白話短篇小説の展開

    初出

    『こだま』(金沢大学附属図書館報)1985年4月

  • 作品名

    中国近世短篇小説集『三言』のこと

    初出

    『北国新聞』1982年4月10日

  • 作品名

    高橋和巳と中国文学

    初出

    文芸読本『高橋和巳』(河出書房新社)1980年5月

  • 作品名

    武田泰淳と中国文学

    初出

    1985年9月

  • 作品名

    花田清輝のレトリック

    初出

    『新日本文学』1984年12月原題「ホモ・プロ・セの精神

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