
聖と呪力の人類学
セイトジュリョクノジンルイガク
- 著: 佐々木 宏幹

聖なる秘仏は呪力を持つとされ、人びとはこの力の現世利益(げんぜりやく)を求めて集まる。著者は、このような仏教と呪力信仰との関係を理解するためのヒントを民俗信仰のなかに見る。たとえば、わが国の民俗レベルの呪力信仰の中心に活躍するシャーマンたちとその宗教施設は、東北や南西諸島に限らず、むしろ東京などの大都市圏に多く存在するという。聖と呪力をめぐる問題を宗教人類学的に考察した期待の力作。
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目次
●1 霊魂(アニマ)と民俗信仰
民俗信仰とアニミズム文化
「死」の民俗
「葬祭=仏教」と霊魂観
●2 民俗宗教の諸相
沖縄・久高島のイザイホー
「カゼ」と「インネン」──長崎県・福江島の宗教文化
都市シャーマニズムの考現学
大都市シャーマニズムと新宗教
脱魂──憑霊論の周辺再考
●3 聖と呪力
僧の呪師化と王の祭司化
巫的文化の諸相──『宇治拾遺物語』の考察
憑入・憑着・憑感──憑霊の概念
聖なる狂気の意味
神秘主義と日本の宗教
書誌情報
紙版
発売日
1996年10月09日
ISBN
9784061592513
判型
A6
価格
定価:1,100円(本体1,000円)
通巻番号
1251
ページ数
302ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
’89年10月、青弓社より刊行