
『オイディプ-ス王』を読む
オイディプースオウヲヨム
- 著: 川島 重成

ギリシア悲劇の中で最高傑作といわれ、アリストテレースも激賞した「オイディプース王」。アポローンの神託の成就と、そこに描き出された人間存在の悲劇性を浮き彫りにしたこの「オイディプース王」を文学として捉えなおして徹底的に解読吟味する。悲劇としての巧みな劇構成、そして、今なお私たちに問いかけてやまない人間存在の本質――時空を越えて輝くギリシア悲劇の魅力を読みつくした意欲作。
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目次
●1 時代背景
1 紀元前5世紀の英雄像
2 「オイディプース王」の推定上演年代
3 紀元前5世紀のアテーナイ史の明暗 ほか
●2 謎とアイロニー
1 劇以前に想定されている出来事
2 スピンクスの謎
3 〈偶然(テュケー)〉とソポクレース的アイロニー ほか
●3 テイレシアースとクレオーン
1 オイディプースの決意と自己呪詛
2 「不幸(テュケー)があの方の頭上を……」
3 テイレシアース/〈真理(アレーテイア)〉の登場 ほか
●4 イオカステーとアポローンの神託
1 三叉路
2 過去の〈成り行き(テュケー)〉
3 ラーイオスへの神託――イオカステーによる2度の言及 ほか
●5 イオカステーと〈偶然〉
1 イオカステーの「敬神」
2 神託への侮蔑
3 「人は成り行きに左右され……」 ほか
●6 第2合唱隊(スタシモン)について
1 崇高な宗教的信念の表白
2 筋(ミュートス)に占める位置
3 「天高く歩む掟」を侵す者 ほか
●7 〈真理〉と〈ダイモーン〉
1 〈テュケー〉の連鎖
2 真実の証人
3 真実追究者オイディプース ほか
●8 盲目のオイディプース
1 盲目の仮面に血が流れる
2 〈ダイモーン〉の跳躍
3 アポローンとオイディプース ほか
●エピローグ 「コローノスのオイディプース」瞥見
1 「白土に輝くコローノス」
2 〈時〉とともに歩む者
3 ヒュブリスへの戒め ほか
書誌情報
紙版
発売日
1996年12月10日
ISBN
9784061592599
判型
A6
価格
定価:990円(本体900円)
通巻番号
1259
ページ数
300ページ
シリーズ
講談社学術文庫