現代人の仏教

現代人の仏教

ゲンダイジンノブッキョウ

講談社学術文庫

無相とは、この世の中にあるすべてのものは無常なるものであることを明確に透徹した目で観ることから成り立つ。この現世は永遠であり、絶対だと思うところから出発する有相の価値観に比し、この現世は仮の宿に過ぎないと考える無相の価値観。日本人の精神生活に大きな影響を与えたこの仏教のこころ「無相の価値観」を見直し、いまこそ混迷の時代を生きるわれわれ現代人の指針とすべきだと説く好著。


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目次

はしがき――無相の価値観
1 仏教の根本真実――三法印
三つの真理――三法印
無常を観ずるこころ――諸行無常と諸法無我
無常観とは――見の目と観の目
無常観に生きた道元
中世仏者の無常観
2 四つの真理――四聖諦
四つの真理とは
人生とは苦なり――苦諦
果てしなき煩悩――集諦
安らかなこころ――滅諦
悟りに至る道――道諦
3 無相の価値観――空と無相
我は空なり――五蘊皆空
空を行ずる――万理一空
こころのおきどころ――自在
無相の相――遊戯三昧
無相の価値観――三輪清浄
4 人間の本性――仏のいのち
人身受けがたし
仏のいのち
草木は成仏するか――自然が意見をはいた
仏と衆生
不生の仏心
5 迷いの相――十二縁起
縁起ということ
迷いの生存――十二縁起
物欲は限りなし
貪り・瞋り・痴さ――三毒
6 こころの世界――三界唯心
仏法はこころにあり
二種の心――無心と有心
こころの構造――唯識の教え
自性清浄の一心――華厳の教え
こころの用き――三界唯心
7 信とは何か
三宝に帰依する
信とはまかすなり
仏法に明日なし
信の現成――華厳経と正法眼蔵
絶対信の世界
無私と至誠
8 如何に修行すべきか
修道の心がまえ
悟りへの道――八正道
菩薩の実践徳目――六波羅蜜
粥のこころを悟ること――坐禅
自己を知ること
死生観の確立――『猿法語』の世界
9 人となる道――仏教倫理
知らずに犯す悪――十の誡め
酒に溺れるな――不飲酒戒

書誌情報

紙版

発売日

1998年05月08日

ISBN

9784061593305

判型

A6

価格

定価:902円(本体820円)

通巻番号

1330

ページ数

254ページ

シリーズ

講談社学術文庫

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