
「魔」の世界
マノセカイ
- 著: 那谷 敏郎

闇に蠢く者たち
サタン、メドゥーサ、鬼子母神、龍……
世界の半分を支配する闇の帝王たち
人間が人間となって以来、自らの想像力によって生み続けた闇の住人――「魔」たち。ギルガメッシュ、メドゥーサ、サタンから鬼子母神、龍、座敷童子まで。浩瀚な文献渉猟と精力的な現地調査により、古今東西を跳梁する膨大な超自然的存在たちがここに集められた。その風貌、性格、能力を通し、彼らを生んだ風土、社会、民俗の差異を浮き彫りにする。
人間によって創られた古い魔、怪物たちは、なかなか強くて、並列的に創られた神々ともよく拮抗し得た。時には争って神に勝つことさえあった。……既存の魔怪たちは、大宗教によって、異端、呪われたものとして極めつけられた。そして大宗教自身が新しく生みだした怪物たちと共に、大宗教の言う、インフェルノ、ヘル、ナラカ(奈落・無赦の地)、地獄の涯に放逐され、闇に蠢くものとして沈淪する。――(本書より)
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目次
ナッツ(精霊)の国で
魔の創始、魔の定義
化生のものの運命
フンババとキ
エジプトのヘビ、中国のトラ
蛇=龍族の威勢
龍の階層化と発展形
怪鳥怪魚
自然現象の魔化
陰怪、陽怪
吸血鬼伝説
狼男、ヒトトラ、月
コビトと巨人
アスーラとアトラス
宿命を背負う魔たち
鬼子母神など
スリランカの魔たち
ネパールの魔、バリ島の魔
西欧中世の魔女
魔術師の系譜
魔法=錬金術
中国の錬丹術
呪文・護符・仙人
ヒンドゥー圏のリシ=聖者
イスラーム圏の魔術師
軽い魔たち
西欧の妖精たち
中国の軽い魔群
花怪、虫怪、天女怪
愛すべき狐たち
影薄き幽霊たち
餓鬼、中国の幽霊
批判的な幽霊たち
輸入幽霊たち
イスラーム圏の魔
千夜一夜の魔たち
詩魔・除魔・邪視
日本の魔
狐狸、河童、山姥たち
十王、地蔵、座敷童子
鬼から化猫まで
日本の幽霊たち
崇徳院・天狗
カー・生霊・影
ゲヘナへの道
地獄の沙汰
書誌情報
紙版
発売日
2003年11月12日
ISBN
9784061596245
判型
A6
価格
定価:1,155円(本体1,050円)
通巻番号
1624
ページ数
304ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
原本:1986年12月新潮社から刊行されたものを原本とした。