
ヴェニスからアウシュヴィッツへ
ヴェニスカラアウシュヴィッツヘ
- 著: 徳永 恂

和辻哲郎文化賞受賞
『ヴェニスのゲットーにて』の文庫版
ナチスによるユダヤ人虐殺は何故起きたのか。ユダヤ人への過酷な差別や迫害、残忍非道な異端審問。ユダヤに寛容なイスラムに対し、血の滲む西洋の歴史。ゲットー発生の地ヴェニスなどユダヤ人殉難の地を旅し、ヨーロッパの陰の歴史、反ユダヤ主義の根源に迫り、近代思想の意外な真実と陥穽を鋭く剔出する。識者絶賛、和辻哲郎文化賞受賞作品の待望の文庫版。
私の主題はあくまでもアウシュヴィッツに極まるヨーロッパ近代の反ユダヤ主義思想をめぐるドラマであり、「アウシュヴィッツ以後」における人間の生き方にあった。私の旅は、異域への現実の旅であるとともに、歴史への想像上の旅であり、また文献の内部への旅でもあった。ただそれは……必ずしもアウシュヴィッツへの旅ではなく、アウシュヴィッツからの旅であった。――(本書「原本あとがき」より)
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目次
第1部 ヴェニスからアウシュヴィッツへ
序章 ヴェニスのゲットーにて
1章 敗者の歴史
2章 コロンブスとユダヤ人問題 ―1492年の地平―
3章 スペインへ
4章 異端審問・マラーノの悲劇
5章 間奏曲、エルサレム紀行
6章 ポルトガルへ
7章 海辺の墓地 ―モロッコへ―
終章 バルト海のほとりにて ―アウシュヴィッツの普遍性について―
第2部 ドイツ反ユダヤ主義の諸断面
序章 歴史的回顧
1章 マルクスと反ユダヤ主義
2章 ドイツにおける斎藤茂吉 ―ユダヤ人問題をめぐって―
附論 第二次世界大戦後のドイツにおける反ユダヤ主義問題
書誌情報
紙版
発売日
2004年07月11日
ISBN
9784061596665
判型
A6
価格
定価:1,320円(本体1,200円)
通巻番号
1666
ページ数
384ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
底本:本書は、1997年に株式会社みすず書房から刊行された『ヴェニスのゲットーにて-反ユダヤ主義思想史への旅』を底本として、一部、収録論文を入れ替え、文庫化したもの。