雨森芳洲

雨森芳洲

アメノモリホウシュウ

講談社学術文庫

「互いに欺かず、争わず、真実をもって交わり候を誠信とは申し候」
理想の日朝外交を求めた思想家の再発見

朝鮮語と中国語を自在に操る対馬藩の儒者に、朝鮮通信使は称賛の言葉を惜しまなかった――。木下順庵に学び、新井白石・荻生徂徠との交友を通して研鑽された芳洲の思想は、言語哲学に発し、偏見を排した文化・民族の平等理念へと昇華する。江戸時代、日朝親善の先駆者となり今日的思索を展開しながら、国学の擡頭により忘れさられた思想家が現代に甦る。

雨森芳洲は、徳川時代の日本を代表する思想家の1人である。荻生徂徠、本居宣長に比して、まさるともおとらないものを持っている。対馬という辺地にいたために、彼の思想が広く知られずに終わり、それが私達の国を指導する力を持ちえなかったことを、私は本当に残念に思う。今度こそ、我々の中に1つの良き典型として、いつまでも生き続ける思想家になって欲しい。切にそう希望する。――<本書「序章」より>


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目次

序章 雨森芳洲――忘れられた思想家
第1章 町医者の子
第2章 木下順庵に学ぶ
第3章 対馬で実務見習い
第4章 朝鮮外交に活躍
第5章 思索と教育の晩年

書誌情報

紙版

発売日

2005年02月12日

ISBN

9784061596962

判型

A6

価格

定価:968円(本体880円)

通巻番号

1696

ページ数

256ページ

シリーズ

講談社学術文庫

初出

1989年10月、中央公論社より刊行

著者紹介

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