
戦後責任論
センゴセキニンロン
- 著: 高橋 哲哉

亡霊のように甦る戦争の記憶と日本の戦後を問う
中国・重慶での反日暴動、従軍慰安婦を巡る諸問題など、ある日突然、亡霊のように甦る戦争の記憶。冷戦構造が崩れて直面したアジアの戦争被害者の声に、日本はどのように応答すべきか。ユダヤ人大量虐殺を否定する歴史修正主義や、台頭する新たなナショナリズムを鋭く批判し、アジアの民衆との信頼関係回復のため戦後責任を問い続ける俊秀の力作。
このような呼びかけに応答すること、レスポンシビリティとしての責任を果たすことは、自分の属する国家がかつて破壊したアジアの諸国民、民衆との信頼関係を回復し、新たに作り出す行為だろうと私は思います。そしてそうであるかぎり、これは被害者側だけでなく加害者側にとっても、けっして「否定的」であったり「抑圧的」であったりする行為ではなく、むしろ「肯定的」で「歓ばしい」ものになるはずではないでしょうか。――(本書<「戦後責任」再考>より)
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目次
1.戦後責任を問い直す
1.「戦後責任」再考
2.記憶・亡霊・アナクロニズム
3.ジャッジメントの問題
2.ネオナショナリズム批判
1.日本のネオナショナリズム1――自由主義史観を批判する
2.日本のネオナショナリズム2――加藤典洋氏「敗戦後論」を批判する
3.ネオナショナリズムと「慰安婦」問題
3.私たちと他者たち
1.汚辱の記憶をめぐって
2.哀悼をめぐる会話
3.日の丸・君が代から象徴天皇制へ
書誌情報
紙版
発売日
2005年04月10日
ISBN
9784061597044
判型
A6
価格
定価:1,056円(本体960円)
通巻番号
1704
ページ数
288ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
底本:小社刊『戦後責任論』(1999年12月刊)を底本とした。
収録作品
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作品名初出
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作品名
「戦後責任」再考
初出
『日本戦没学生記念会』1998年8月15日
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作品名
記憶・亡霊・アナクロニズム
初出
『成城大学文芸学部』1996年12月4日
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作品名
ジャッジメントの問題
初出
『「女性・戦争・人権」学会』1998年11月1日
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作品名
日本のネオナショナリズム1
初出
『パリ国際哲学カレッジ』1999年3月12日
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作品名
日本のネオナショナリズム2
初出
『パリ国際哲学カレッジ』1999年3月19日
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作品名
ネオナショナリズムと「慰安婦」問題
初出
『日本の戦争責任資料センター』1997年7月12日
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作品名
汚辱の記憶をめぐって
初出
『群像』1995年3月号
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作品名
哀悼をめぐる会話
初出
『現代思想』1995年11月号
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作品名
日の丸・君が代から象徴天皇制へ
初出
『論座』1999年9月号