海をわたる蝶

海をわたる蝶

ウミヲワタルチョウ

講談社学術文庫

海面で昼寝する蝶、18億匹の大移動
謎に満ちた蝶の生態

私たちの周りで美しく舞いながら飛ぶ蝶。人間と蝶の間には、密接で深い、意外な関係が存在する。1分間に数千匹が山を越え移動するイチモンジセセリ。日本列島をさまよいながら生きるウラナミシジミ。外国から海を越えてくる蝶、また、海面で昼寝をする蝶。なぜ旅をするのか、どのくらいの距離を動くのかなど、本書は、謎に満ちた蝶の不思議な生態を解き明かす。

「先生、イチモンジセセリが、今度はすごい数ですよ」。なるほど昨日とは桁違いの移動である。あるものは低く、露にぬれた草すれすれに、あるものは高く3メートルほどの所を、波打つようにリズミカルに、西へ西へと飛んでゆく。この大移動は数の盛衰こそあったが、午後2時ごろ私たちが下山するまで続き、最盛期には牛島君の可視範囲で1分間に3000~4000匹に達した。いったい、どれだけの蝶が葛城山を越えて奈良側から大阪側へ移動したであろうか。――<本書第1章より>


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目次

第1章 豊作を告げる蝶
第2章 さまよいながら生きる
第3章 モンシロチョウの歴史
第4章 迷蝶
第5章 供給地の実態――フィリピン群島の旅から
第6章 都市化と蝶相の変遷
第7章 蝶の地理学
第8章 氷河時代

書誌情報

紙版

発売日

2005年07月10日

ISBN

9784061597198

判型

A6

価格

定価:1,155円(本体1,050円)

通巻番号

1719

ページ数

288ページ

シリーズ

講談社学術文庫

初出

1973年2月、蒼樹書房より刊行

著者紹介

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