
紀貫之
キノツラユキ
- 著: 藤岡 忠美

『古今集』撰進1100年
日本美を創出した偉才の歌と生涯
我が国最初の仮名文日記『土佐日記』の作者、また、『古今和歌集』の編者で、その代表的歌人、紀貫之。国風文化を隆盛に導いた平安期文人は、いかなる生涯を送り、日本文学史にどんな刻印を残したのだろうか。余情妖艶な風趣、花鳥風詠の和歌、彫琢された日本語。日記文学研究の第一人者が、先学の論考と著作を踏まえ、独自の視点から日本人の美意識誕生の秘密を解き明かす。
日本人特有の四季美意識やこまやかな心情表現の型や優雅な歌ことばの数々を創り出した『古今和歌集』ほど、古典の名にふさわしい作品は他にないといえよう。その『古今和歌集』を編集した中心人物が紀貫之である。彼は「仮名序」で和歌文学の本質と歴史について初めて明言し、理想の和歌を「心」だけでなく「言葉」との調和に求めた。晩年には、『土佐日記』を書いて仮名文日記という最初の試みに挑み、明るいユーモアと沈痛な心情とを旅日記の虚構をかりて巧みに表現した。――<本書より>
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目次
第1章 紀氏に生まれて
第2章 歌人誕生
第3章 延喜の国政
第4章 『古今和歌集』成る
第5章 「小世界」の周辺
第6章 『土佐日記』前後
書誌情報
紙版
発売日
2005年08月12日
ISBN
9784061597211
判型
A6
価格
定価:1,320円(本体1,200円)
通巻番号
1721
ページ数
360ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
底本:1985年7月、集英社より刊行されたものを底本とした。