ゴッホ

ゴッホ

ゴッホコノヨノタビビト

講談社学術文庫

闇から光へ
情熱の画家の心と作品の軌跡

「闇から光へ、人生は天国へ到る巡礼の旅」。
25歳の伝道師ゴッホは、教会で人々にこう説教した。心の内部に巣喰う深い悲しみと強い孤独感。ゴッホは、自己との激しい闘いを個性的な絵へと昇華させていった。暗鬱で寂寥感迫る作品、燃え上がるような情熱的な画風。本書は、人間の魂の読み手が1つ1つの絵を丹念に読み、天才画家の心の秘密と絵のもつ美しさを見事に刳(えぐ)り出す。

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの生涯は、根深いメランコリーと孤独感を抑制し、軽減し、美化しようとする、あるいは否定しようとする果てしない闘いだった。宗教と芸術とは、この目的のために用いたふたつの手段にほかならない。メランコリーと孤独感に対する闘いは彼の人格形成に影響を与えたばかりではなく、創造への意欲を刺戟し、作品の内容とスタイルを決定するのに大きく作用した。――<本書「1 ヴィンセントの説教」より>


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目次

1.ヴィンセントの説教
2.メランコリーの利点
3.塒につくとき
4.濡れた足のがさつな犬
5.亡兄ヴィンセントと悲しみの母
6.天にましますわれらの母
7.闇から光へ
8.黄色い家
9.ヴィンセントの耳
10.眩暈とスタイル
11.ヴィンセントの眼
12.絵の中の「キリストの教え」
13.烏の群れ飛ぶ麦畑

書誌情報

紙版

発売日

2005年10月09日

ISBN

9784061597280

判型

A6

価格

定価:1,650円(本体1,500円)

通巻番号

1728

ページ数

512ページ

シリーズ

講談社学術文庫

初出

底本:1979年9月、小社刊行の『ゴッホ この世の旅人』を底本とした。

著者紹介

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