
江戸の博物学者たち
エドノハクブツガクシャタチ
- 著: 杉本 つとむ

日常生活と直結した学問
本草学の系譜と消長
本草学は、動・植物学、鉱物学等にわたる壮大な学問であり、ほぼ博物学に相当する。中国渡来のこの学問は、江戸期に日本独自の本草学を創成し、小野蘭山、畔田翠山により、その研究は頂点へと達した。明治期、本草学は欧米流学問の奔流に呑み込まれていくが、その成果は生物学、民俗学、方言学等に継承された。学問史に異彩を放つ日本本草学の消長。
狩猟民ではない農耕と魚撈(ぎょろう)の日本人はおのずと自然を友として、自然を人類のうちなる物類と認識したのである。五穀豊穣というように、物類の中核が草木であれば、自然を対象とする研究に草(そう)を本(もと)とする本草学の名が与えられ、卓越した詩人と求道者によって本草学が創造されていったのも当然のことといえよう。……人民の厚生を念じた日本の本草学者、それをとりまく社会・学芸・文化を時代とのかかわりで記述してみた。――<本書「本草学とは何か」より>
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目次
第1章 本草学の起源と展開
第2章 蘭山と本草学の形成
第3章 畔田翠山の時代と名物学
書誌情報
紙版
発売日
2006年05月12日
ISBN
9784061597648
判型
A6
価格
定価:1,320円(本体1,200円)
通巻番号
1764
ページ数
384ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
1985年2月に青土社から刊行。