
死の人類学
シノジンルイガク

至上の超越者「死」に対し、解決を図る人間の文化的営み
至上の超越者である「死」を、人間はどのように文化の中に組み込んできたのだろうか。神秘としての死は語りの対象となり、さまざまなイコンのうちに視覚化され、儀礼的演技の中で操作されるようになる。儀礼と社会構造との関係、霊魂やあの世観念の内容など、ボルネオ、スラウェシの事例をもとに、個別文化を超えたところにある人類の共通項・普遍項を導き出す。
我々がここで試みようとする死の人類学は、この超越者に対する人間の態度を描こうとするものである。死を死として語ることはうとましい。しかし、だからこそ、死に対する態度のなかに人間の生の営為の狡智が隠されているともいえるのだ。その意味で、ここに展開することは死の人類学であるとともに、すぐれて生の人類学でもある。――<本文より>
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目次
第1章 死の人類学の可能性
第2章 イバン族における生と死
第3章 イバン族における死の解決
第4章 トラジャにおける生と死
第5章 トラジャにおける死の解決
第6章 結論
書誌情報
紙版
発売日
2006年11月11日
ISBN
9784061597938
判型
A6
価格
定価:1,210円(本体1,100円)
通巻番号
1793
ページ数
352ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
1986年に弘文堂より刊行。