顔の文化誌

顔の文化誌

カオノブンカシ

講談社学術文庫

顔隠しの文化、正面顔文化とは?
独特の美意識のルーツは?
「顔」から読み解く日本文化論

顔に対する美意識は、その時代の社会や文化によって規定されてきた。顔の歴史は社会・文化の歴史でもある。どのような顔が美とされ、なぜそれが選ばれたのか。感情を面(おもて)に表さない「顔隠しの文化」、横顔よりも正面顔や背面の美を意識する「正面顔文化」はどのように生まれたのか。文献を丹念に考証し、実験も交えながら、顔を通して日本文化の新しい見方を提示する画期的論考。

眉を抜いて眉を描いていた女性たちや貴族の男性たちは、結果としては身分の表現でもあったが、それぞれの社会から眉によるコミュニケーション=感情の表出が禁じられた人々であったと言える。このような化粧風俗は、近隣の民族に見出せない。(中略)眉の存在に対してかなり過敏に感じる風土があったように思える。この過敏さは、つぎに述べる顔隠し、あるいは昭和の半ば過ぎまで残っていた感情を面に出すことを嫌った現代日本人の美意識にも通じる内容を含む。――<本書より>


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目次

第1章 古代から中世の顔
第2章 日本的顔の美の成立
第3章 近代の顔へ
第4章 戦後の顔と化粧
第5章 現代の美意識
第6章 日本人の顔文化論

書誌情報

紙版

発売日

2007年02月10日

ISBN

9784061598041

判型

A6

価格

定価:1,056円(本体960円)

通巻番号

1804

ページ数

288ページ

シリーズ

講談社学術文庫

初出

1992年に東京書籍より刊行された同名の書に、加筆訂正を行い文庫化。

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