中世民衆の生活文化(上)

中世民衆の生活文化(上)

チュウセイミンシュウノセイカツブンカ

講談社学術文庫

遊戯、病い、狼藉、一揆、穢れ……。
下克上の激動期を生き抜いた民衆の意識を読む。

荘園領主・寺社などの権力による抑圧、「業罰」による病いの恐怖、社会通念としての穢れ、河原者の存在、補陀落渡海による自死……。中世民衆の心象風景である。
のしかかる重圧のなかで、一揆で逞しく抵抗した人々。団結する民衆、公家と武士、そして共同体の間に生きた人々が織りなす下剋上の世を活写し、深く考察する論考。

(この上巻)に収めた各文は、特に中世後期の民衆が日常育んでいた生活・生産と直結する「意識」の問題について、当時の学界ではまだ重視されていなかった諸側面に光を当てたいと願っていたことの結果である。京都市下京区の東南部に位置した15、6軒からなる「お町内」での現実の暮らしは、(略)隠微な部落差別の意識も含めて、いかにも京都の下町の庶民世界そのものだったと思うが、そこに住んで日夜感得された世界と、歴史学で称揚されがちな庶民の世界との間には、感性的な面での落差があり、時には後者が奇異にさえ映ったものである。――<「学術文庫版『中世民衆の生活文化(上)』に寄せて」より>

※本書は1975年に東京大学出版会から刊行された同名の書の第14刷(1999年刊)を底本とした。文庫化にあたり三分冊にした。


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目次

1 民衆文化の振幅
 第1 心象の中世民衆
 第2 下克上の文化――民衆思想の底流を求めて
 第3 庶民の遊戯――あそび・生活・社会
 付論1 中世文化研究の動向寸見
 付論2 遊戯と浄土――『梁塵秘抄』を素材として
 付論3 無頼の装い、風流の意匠

書誌情報

紙版

発売日

2007年11月10日

ISBN

9784061598485

判型

A6

価格

定価:770円(本体700円)

通巻番号

1848

ページ数

184ページ

シリーズ

講談社学術文庫

初出

底本:1975年に東京大学出版会から刊行された同名の書の第十四刷(1999年刊)を底本とし、文庫化にあたり三分冊した。

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