
古代国家と年中行事
コダイコッカトネンジュウギョウジ
- 著: 大日方 克己

射礼、五月五日節、相撲節、大晦日の儺…
国家儀礼としての行事にこめられた意味とは?
古代の律令国家において、なぜ年中行事は国家的儀礼として行われたのか。天皇と官人の関係を表現した射(じやらい)、礼武力を結集する五月五日節、八月駒牽、相撲節(すまいのせち)、疫鬼を追放する大晦日の儺(な)……現在まで残る民俗の起源でもあるそれらの儀式は、身分や秩序を体現し、権力構造を視覚化するものだった。儀式の過程やその変遷を子細に探究し、天皇を頂点とする国家構造との関わりを解明する。
毎年同じことがくりかえされていく年中行事は、一見無用にみえながら、それを共有していくことが、社会や文化の統合に重要な役割を果たしているのではないか、またその前提に暦があり、暦の存在自体が政治的な意味をもつ前近代社会においては、年中行事自体が王権や国家の支配に不可欠なのではないか、そこから日本律令国家の構造やその展開にせまれないか、という問題意識で本書は構想された。――<「あとがき」より>
※本書の原本は、1993年、吉川弘文館より刊行されました。なお、文庫化にあたり、引用史料の漢文を読み下すなどの修正を加えてあります。
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目次
はじめに
第1章 射礼・賭弓・弓場始――歩射の年中行事
第2章 五月五日節――律令国家と弓場の儀礼
第3章 相撲節
第4章 八月駒牽――古代国家と貢馬の儀礼
第5章 大晦日の儺
第6章 年中行事の重層構造
書誌情報
紙版
発売日
2008年02月09日
ISBN
9784061598591
判型
A6
価格
定価:1,210円(本体1,100円)
通巻番号
1859
ページ数
352ページ
シリーズ
講談社学術文庫
初出
原本:本書の原本は、1993年、吉川弘文館より刊行。文庫化にあたり、引用史料の漢文を読み下すなどの修正を加える。