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山ん中の獅見朋成雄
ヤマンナカノシミトモナルオ
- 著: 舞城 王太郎

『しぞりりりりんに。しぞりりりりんに』
あなたもきっと、王太郎に翻弄される!
僕の首の後ろにも、他人よりもちょっと濃いめの産毛が生まれたときから生えていて、これが物心ついたころから僕の抱えた爆弾だったのだけれど、13歳になってすぐのある晩、自分の鎖骨をこすっていて、そこにいつもとは違う感触を感じてうつむいて、首元に赤くて長くてコリコリと固い明らかな鬣(たてがみ)の発芽を確かめたとき、それまでは祖父と父と同じように背中に負ぶっているつもりだった爆弾が、気づけば僕だけ胸の上にも置かれていたと知ってショックで、その上さらにその導火線にとうとう火が点けられたのを実感して、僕は絶望した――<本文より>
背中に鬣を持った福井・西暁の中学生、獅見朋成雄(シミトモナルオ)から立ち上がる神話的世界を舞城王太郎が疾走感あふれる文体で描き切る!ゼロ年代デビュー、「ゼロの波の新人」の第一走者が放つ傑作。
書誌情報
紙版
発売日
2005年12月08日
ISBN
9784061824676
判型
新書
価格
定価:880円(本体800円)
ページ数
224ページ
シリーズ
講談社ノベルス
初出
2003年9月に単行本として出版した物をノベルス化。