
五里霧
ゴリム

2.26事件、戦争、召集、労働運動、差別、左翼文学、東欧民主化、フェミニズム、エイズ……。1931年から1992年までの、ある年ある月の出来事を手懸りに、当時の時代相を鋭く抉り、人間の生き方を問い直す12の物語で構成された短篇オムニバス「十二か月物語」。俗情との結託を排し、厳格で論理的な文体により、時代の流れと生の意味の根源へと遡行する意欲作。
鎌田哲哉
大西巨人が自らの短編で絶えず提示したのは、「ひとりで立つ」ことを試みる者達が、互いの差異を維持しつつ古い言葉を破砕され、新たな言葉と出会って行く活動の原光景なのである。だが改めて考えれば、それは他ならぬ『神聖喜劇』の様々な急所にも存在したはずだ。――<「解説」より>
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書誌情報
紙版
発売日
2005年01月09日
ISBN
9784061983922
判型
A6
価格
定価:1,430円(本体1,300円)
ページ数
304ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
初出
『群像』’92年3月号、6月号、9月号、12月号、’93年2・3月号、5月号、7・8月号、10月号、12月号、’94年2月号、4月号、6月号
著者紹介
解説: 鎌田 哲哉(カマタ テツヤ)