日本の童話名作選 昭和篇

日本の童話名作選 昭和篇

ニホンノドウワメイサクセンショウワヘン

講談社文芸文庫

川端康成から壺井栄まで“昭和”の光と影を映し出す名品20!

「赤い鳥」により芸術性を獲得した童話は、昭和に入ると、「少年倶楽部」に代表される大衆化の道を辿った。一方、子どものリアルな現実をとらえる生活童話が書かれ、宮沢賢治、新美南吉など童話作家も登場、独創的な日本のファンタジーが誕生した。お伽噺から文芸の豊かな1ジャンルに変貌をとげる時代の、川端康成、林芙美子、太宰治、坪田譲治、室生犀星、壺井栄など19作家の名品を収録する。

千葉幹夫
「童話の読者が誰であるか……相手は子供であつて文学青年ではない。そこで今日の童話は、物語性を取り戻す事に努力を払はねばならない。大人の文学が物語性を持たないからとて、どうしてそれを真似る必要があらう」(新美南吉/1941年)
昭和の児童文学は困難な時代と共に歩みながら、決して未来への希望を失うことはなかった。また、大正期の童心主義童話と異なり、物語性も獲得した。(略)大人と子供を同時代の目で見るという文学の重要な視点も持ち得たことは、昭和30年代中葉からの高揚期を迎える為に重要な点であった。――<「解説」より>


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書誌情報

紙版

発売日

2005年07月10日

ISBN

9784061984110

判型

A6

価格

定価:1,430円(本体1,300円)

ページ数

336ページ

シリーズ

講談社文芸文庫

初出

作品は新漢字、新かな遣いに改めました。幼年向けから青年向けまで読者層が異なる作品群を収録するにあたり、編集部の判断で振りがなを適宜増減しました。また明らかな誤植と思われる箇所は正しましたが、原則として底本に従いました。

収録作品

  • 作品名

    ある日の鬼ヶ島

    初出

    初出:「赤い鳥」赤い鳥社’27年10・11月

  • 作品名

    王様の背中

    初出

    内田百聞全集第四巻 1972年4月

  • 作品名

    狼の魂

    初出

    内田百聞全集第四巻 1972年4月

  • 作品名

    級長の探偵

    初出

    初出:『日本児童文学大系第二三巻』ほるぷ出版’77年11月

  • 作品名

    初出

    初出:『少年少女日本文学全集第二一巻』講談社’77年2月

  • 作品名

    グスコーブドリの伝記

    初出

    初出:『校本宮沢賢治全集第一一巻』筑摩書房’74年9月

  • 作品名

    初出

    初出:『日本児童文学大系第二四巻』ほるぷ出版’78年11月

  • 作品名

    ションベン稲荷

    初出

    初出:『日本児童文学大系一五巻』ほるぷ出版’77年11月

  • 作品名

    走れメロス

    初出

    初出:『太宰治全集第四巻』筑摩書房’98年7月

  • 作品名

    煉瓦の煙突

    初出

    初出:『日本児童文学大系第三〇巻』ほるぷ出版’78年11月

  • 作品名

    大造爺さんと雁

    初出

    初出:『日本児童文学大系第二四巻』ほるぷ出版’78年11月

  • 作品名

    おじいさんのランプ

    初出

    初出:『校定新美南吉全集第二巻』大日本図書’80年6月

  • 作品名

    機械になったこども

    初出

    初出:『国分一太郎児童文学集(1)』小峰書店’67年9月

  • 作品名

    スイッチョねこ

    初出

    初出:『日本の名作スイッチョねこ』講談社’71年11月

  • 作品名

    サバクの虹

    初出

    初出:『坪田譲治全集第八巻』新潮社’78年2月

  • 作品名

    ふたりのおばさん

    初出

    初出:『日本児童文学大系第九巻』ほるぷ出版’77年11月

  • 作品名

    ラクダイ横丁

    初出

    初出:『日本児童文学大系第三〇巻』ほるぷ出版

  • 作品名

    ヨコハマのサギ山

    初出

    初出:「銀河」新潮社’48年4月

  • 作品名

    八郎

    初出

    初出:『べろだしチョンマ』理論社’67年11月

  • 作品名

    坂道

    初出

    初出:『日本児童文学大系第二二巻』ほるぷ出版’78年11月

著者紹介