乳を売る・朝の霧

乳を売る・朝の霧

チチヲウルアサノキリマツダトキコサクヒンシュウ

講談社文芸文庫

女性たちの痛切な生の姿を刻む9作品

わが子に与えるべき母乳すら売らねばならぬ貧しき女性の痛切な姿を刻む「乳を売る」、女だけの催し<五月飯>の日の老女らのユーモラスな振る舞いを通し、哀しくも逞しく生きる寒村の女を力強く描いた「朝の霧」等、戦前・戦中の7作品に、自らの文学の核となった少女期を回顧した晩年の作2篇を併録。プロレタリア文学に母性という視点を加え、虐げられてきた女性の新たな目覚めを追究する著者の精選作品集。

高橋秀晴
松田解子の眼は、文学や政治の手前にある虐げられし人々の姿をも凝視していた。同時にその眼は、遥か彼方にある生きることの意味や命の尊厳をも遠望していた。結果、文学性と政治性の高次に於ける両立乃至融合を果たし得たのだった。――<「解説」より>


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書誌情報

紙版

発売日

2005年10月09日

ISBN

9784061984202

判型

A6

価格

定価:1,430円(本体1,300円)

ページ数

288ページ

シリーズ

講談社文芸文庫

初出

収録作品参照

収録作品

  • 作品名

    逃げた娘

    初出

    底本:『松田解子短篇集』創風社’89年10月

  • 作品名

    風呂場事件

    初出

    底本:『松田解子短篇集』創風社’89年10月

  • 作品名

    朝の霧

    初出

    底本:『松田解子短篇集』創風社’89年10月

  • 作品名

    産む

    初出

    底本『松田解子自選集』第三巻(澤田出版発行、民衆社発売)’04年11月

  • 作品名

    乳を売る

    初出

    底本『松田解子自選集』第三巻澤田出版発行、民衆社発売’04年11月

  • 作品名

    姉ごころ

    初出

    底本:『愚かしい饗宴』白水社’40年6月

  • 作品名

    師の影

    初出

    底本:『師の影』青年書房’41年2月

  • 作品名

    山桜のうた

    初出

    底本:『山桜のうた』新日本出版社’85年7月

  • 作品名

    生きものたちと

    初出

    底本:『山桜のうた』新日本出版社’85年7月

著者紹介