
日日の麺麭・風貌
ヒビノパンフウボウコヤマキヨシサクヒンシュウ

太宰治にその才能を愛され、市井に生きる人々の小さな人生を描き続けた、不遇な作家の稀有なる文業
明治の匂い香る新吉原、その地で過ごした幼少期を温かい筆致で振り返る「桜林」、妻に先立たれ、幼い娘を連れておでんの屋台を曳く男の日常を静かに辿った「日日の麺麭」等、清純な眼差しで、市井に生きる人々の小さな人生を愛情深く描いた小説9篇に、太宰、井伏についての随筆を併録。師・太宰治にその才能を愛され、不遇で短い生涯において、孤独と慰め、祈りに溢れる文学を遺した小山清の精選作品集。
小山清
私は太宰さんと会って、太宰さんの人柄が、またその生活が、作品と1枚のものであることを知った。太宰さんはまた非常に率直な人であった。いつ死んでも悔いのないように、好きな人にはこだわりなく好きだと云っておけと云っていたが、すべてにそんなところがあった。見ていてはらはらするほど率直なところがあった。――<「風貌」より>
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書誌情報
紙版
発売日
2005年11月12日
ISBN
9784061984233
判型
A6
価格
定価:1,540円(本体1,400円)
ページ数
240ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
初出
底本:筑摩書房刊『小山清全集』(増補新装版’99年11月)を底本とし、新漢字新かなづかいに改めました。
収録作品
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作品名初出
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作品名
落穂拾い
初出
初出:『新潮』’52年4月号
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作品名
朴歯の下駄
初出
初出『人間 創作集』(「人間」秋季増刊号、目黒書店)’49年11月
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作品名
桜林
初出
初出:『文學界』’51年7月号
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作品名
おじさんの話
初出
初出:『新潮』’53年7月号
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作品名
日日の麺麭
初出
『新女苑』1956年4月号
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作品名
聖家族
初出
初出:『文藝』’54年3月号
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作品名
栞
初出
筑摩書房刊『日日の麺麭』1958年12月(初出不詳)
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作品名
老人と鳩
初出
初出:『小説中央公論』’62年8月号
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作品名
老人と孤独な娘
初出
初出:『新潮』’65年5月号
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作品名
風貌 太宰治のこと
初出
『風雪』1950年7月号
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作品名
井伏鱒二によせて
初出
初出:『新潮』’53年4月号
著者紹介
解説: 川西 政明(カワニシ マサアキ)