
第一義の道・赤蛙
ダイイチギノミチアカガエル

<義>を渇仰した生の求道者・島木健作の文業を精選
出獄後の生き方を模索する順吉の前に立ちはだかる母の存在。<義>に生きようとしつつも、それを果たせぬ焦燥と苦悩を描いた「第一義の道」、生きものの生死を通じて自己を見つめた心境小説の名作「黒猫」「赤蛙」「ジガ蜂」、<北方人の血と運命>をかけ、長篇として構想されながらも絶筆となった「土地」等、6篇を収録。苦多き短い生涯を、求道的な精神とストイックな理想主義で貫いた島木健作の稀有なる文業を精選。
新保祐司
島木が昭和11年に発表した「第一義の道」は、このタイトルそのものが島木の人と文学を象徴しているような中篇である。獄から出てきた島木その人と母親の生活を描いた、いわば私小説的なものだが、島木健作とは、いってみれば「第一義」を求めた人であった。もっと正確にいえば、「第一義」のみを求めた人であった。そこから、この暗い小説の、息苦しいほどの雰囲気が生まれてくるのである。――<「解説」より>
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書誌情報
紙版
発売日
2006年03月12日
ISBN
9784061984356
判型
A6
価格
定価:1,430円(本体1,300円)
ページ数
288ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
初出
底本:国書刊行会刊『島木健作全集』第二巻(’77年4月)第八巻、(’76年10月)、第十一巻(’77年9月)
著者紹介
解説: 新保 祐司(シンポ ユウジ)