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月光・暮坂
ガッコウクレサカ

かつての作品の引用から、実在する家族や郷里の友人らとの関係のなかから、ひとつの物語が別の物語を生み出し、常に物語が増殖しつづける<開かれた>小説の世界。<思考の生理>によって形造られる作品は、自由闊達に動きながらも、完結することを拒み、いつしか混沌へと反転していく。メタ・フィクションともいえる実験的試み9篇を、『別れる理由』以降の作品を中心に自選した作品集。物語のあらゆるコードから逸脱し続ける作品世界!
〇小島信夫 私は、彼女がいなくなると、何か安心したように、いっきょに、たいへんな速さで娘時代から幼い頃へとさかのぼり、そのあたりのところに、自分が停滞するというか、そんな状態に見舞われた。その時代から、ゆっくりと先へ進みはじめ、不意に彼女がカチンと音を立てる。我に返ると、それがほかならぬこの私であった。――<「月光」より>
Ⓒidutu kanoko
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書誌情報
紙版
発売日
2006年10月12日
ISBN
9784061984554
判型
A6
価格
定価:1,760円(本体1,600円)
ページ数
392ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
電子版
発売日
2019年07月26日
JDCN
06A0000000000049484X
初出
「返信」は『女たち』(’82年5月、河出書房新社刊)、「月光」「合掌」は『月光』(’84年1月、講談社刊)、「白昼夢」は『平安』(’86年5月、講談社刊)、「暮坂」は『暮坂』(’94年11月、講談社刊)、「天南星」は『こよなく愛した』(’00年10月、講談社刊)を、それ以外は、各作品の初出誌を底本とする。
収録作品
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作品名初出
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作品名
返信
初出
初出:『群像』’81年10月号
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作品名
月光
初出
初出:『群像』’82年4月号
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作品名
合掌
初出
初出:『群像』’83年1月号
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作品名
白昼夢
初出
初出:『群像』’83年11月号
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作品名
落花の舞
初出
初出:『群像』’88年6月号
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作品名
ブルーノ・タウトの椅子
初出
初出:『文學界』’89年3月号
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作品名
暮坂
初出
初出:『群像』’94年2月号、5月号
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作品名
天南星
初出
初出:『文學界』’94年2月号
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作品名
その一週間
初出
初出:『群像』’96年1月号
著者紹介
解説: 山崎 勉(ヤマザキ ツトム)