
マイページに作品情報をお届け!
ハムレット役者 芥川比呂志エッセイ選 丸谷才一編
ハムレットヤクシャアクタガワヒロシエッセイセンマルヤサイイチヘン

諧謔愛好はハムレットの気質
快活、陽気な悲劇の主人公を演じる私もまたそれをたのしむ
シェイクスピア「ハムレット」のタイトルロールにはじまり俳優として、演出家として新風をまきおこしてきた偉大な演劇人は、名エッセイストでもあった。父・龍之介の手ほどきで演劇に目ざめたこと、母の思い出、友との交流、そして演劇への熱い思い。「ハムレット」の台詞にならう『決められた以外のせりふ』などから、その端正で洗錬された文章世界を厳選する。
芥川比呂志
芥川という姓は、多くはないが、とりわけ珍しい姓ではなさそうである。(中略)小学生の時、「アクタガワってのは、ゴミカワとも読めるな」と、つまらぬ発見をしたのは、級長の宮沢喜一で、それ以来、私にけんかを売ろうとする奴は、私のことを「ゴミカワ」と呼ぶだけで目的を達するようになった。気がとがめたと見えて、級長は、彼の発見した呼び名に見切りをつけ、その代りに「アク」という略称を用いるようになった。こっちも「ミヤ」と呼んでやった。あいこである。――<「本文」より>
- 前巻
- 次巻
書誌情報
紙版
発売日
2007年01月12日
ISBN
9784061984646
判型
A6
価格
定価:1,540円(本体1,400円)
ページ数
288ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
初出
本書は、『決められた以外のせりふ』’70年2月25日 新潮社刊、『肩の凝らないせりふ』’77年3月10日 新潮社刊、『憶えきれないせりふ』’82年10月20日 新潮社刊をそれぞれ底本とする。