愛撫・静物 庄野潤三初期作品集

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愛撫・静物 庄野潤三初期作品集

アイブセイブツショウノジュンゾウショキサクヒンシュウ

講談社文芸文庫

妻の小さな過去の秘密を執拗に問い質す夫と、夫の影の如き存在になってしまった自分を心許なく思う妻。結婚3年目の若い夫婦の心理の翳りを瑞々しく鮮烈に描いた「愛撫」。幼い子供達との牧歌的な生活のディテールを繊細な手付きで切り取りつつ、人生の光陰を一幅の絵に定着させた「静物」。実質的な文壇へのデビュー作「愛撫」から、出世作「静物」まで、庄野文学の静かなる成熟の道程を明かす秀作7篇。


日常という画布(カンバス)を一閃する人生の真実

妻の小さな過去の秘密を執拗に問い質す夫と、夫の影の如き存在になってしまった自分を心許なく思う妻。結婚3年目の若い夫婦の心理の翳りを瑞々しく鮮烈に描いた「愛撫」。幼い子供達との牧歌的な生活のディテールを繊細な手付きで切り取りつつ、人生の光陰を一幅の絵に定着させた「静物」。実質的な文壇へのデビュー作「愛撫」から、出世作「静物」まで、庄野文学の静かなる成熟の道程を明かす秀作7篇。

高橋英夫
それら短篇群のあとに、中篇とも見なしうる大きな作品「静物」が来る。それがこの1冊の要であり、あらゆる初期作品はそこへと収斂してゆくことになったのだと観じ、感嘆するほかはない名作「静物」である。遠い山中に発した水源が、少しずつ水量を増しながら長い水の旅を続けて、ついに河口に達し、海に流れ入ったような感銘がこの作品にはある。そしてそのとき読者は、あきらかにそれまでの熱い感触の人間図絵とは異る、不思議に鎮静されたトーンがくまなくこの作品に行き亘っていることに気付かされるだろう。――<「解説」より>


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目次

愛撫
恋文
噴水
十月の葉
臙脂

静物

書誌情報

紙版

発売日

2007年07月12日

ISBN

9784061984837

判型

A6

価格

定価:1,430円(本体1,300円)

ページ数

288ページ

シリーズ

講談社文芸文庫

電子版

発売日

2014年04月25日

JDCN

0619848300100011000N

初出

底本:講談社刊『庄野潤三全集』1巻、2巻、3巻(’73年6月、8月、9月)。

収録作品

  • 作品名

    愛撫

    初出

    初出:『新文学』’49年(’53年新潮社刊『愛撫』所収)

  • 作品名

    恋文

    初出

    初出:『文芸』’53年(’53年新潮社刊『愛撫』所収)

  • 作品名

    噴水

    初出

    初出:『近代文学』’54年(’53年新潮社刊『愛撫』所収)

  • 作品名

    十月の葉

    初出

    『文学雑誌』’49年(’55年みすず書房刊『プールサイド小景』所収)

  • 作品名

    臙脂

    初出

    初出:『文学界』’54年(’55年みすず書房刊『プールサイド小景』所収)

  • 作品名

    初出

    初出:『群像』’56年(’57年現代文芸社刊『バングローバーの旅』所収)

  • 作品名

    静物

    初出

    初出:『群像』’60年(’60年講談社刊『静物』所収)

著者紹介

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