墓碑銘

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電子あり

墓碑銘

ボヒメイ

講談社文芸文庫

アメリカ人の父親と日本人の母親の許に生まれた、トーマス・アンダーソンこと浜仲富夫。日米開戦を機に、日本人として生きることを強いられる。坊主頭で国民服を着て、剣道を習い、国策映画では悪役アメリカ人を演ずる。そして入営。青い眼の初年兵は、異父妹への想いを支えに、軍隊生活のつらさに耐える。だが、山西省から米兵と対峙するレイテ島に転進。極限状況の中でアイデンティティを問う、戦争文学の白眉。異色の戦争文学……日米混血の日本兵、その壮絶な自己喪失の過程を描く。
〇千石英世 『墓碑銘』はちがう。(略)これは総論ではなく各論なのだ。極私的各論、戦争を極私の次元で、あるいは極私の日常性の次元で捉えようとする小説、しかもその「私」がいつしか消滅する小説、総論としての日本論や政策論へと傾きがちな戦後文学の対極に位置して異次元を開く小説に徹した小説、言語芸術の不思議を具現する小説なのである。(略)それを審美的異物としての小説と呼んでもよい。――<「解説」より>


Ⓒidutu kanoko

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書誌情報

紙版

発売日

2007年09月12日

ISBN

9784061984905

判型

A6

価格

定価:1,540円(本体1,400円)

ページ数

376ページ

シリーズ

講談社文芸文庫

電子版

発売日

2019年09月06日

JDCN

06A0000000000049483W

初出

底本:講談社刊「小島信夫全集」第2巻(’71年1月)

著者紹介

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