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ロミは鳥になった
ロミハトリニナッタ
子供のいない夫婦と最愛のネコとの心温まる日々、ふとしたことから二人の生活に入り込んだ手のひらに乗るほどの小さな命は、すぐにかけがえのない存在となり、〈3人暮らし〉の甘美なる日々が続く。しかし、蜜月の日々に予期せぬ不幸が。突然に死が訪れた。
●私と夫と、それぞれが暮らしているなかにロミがいる。 それまではなかった家のなかの共通の話題と関心事が、いやおうなくできたのだ。
――
いつしか私と夫とのあいだも、話題はロミしかなくなってきている。 言い換えれば、私と夫との絆はロミということになる。 「子供は夫婦の絆」という人々を笑うことはできない。子供なら成長して離れていくが、猫はずっといる。いつまでも2人の愛情の対象のまま変わらない。
――
「もし、ロミがいなくなったら」と考えるだけで気が狂いそうだ。いなかったときには考えもしなかったのに、ロミのいない生活なんて、いまでは考えることができない。 かつては完全に平行線の暮らしが2つあったが、ロミをあいだにはさむことで、どこかで交差し、形態が変わってきている。
――
本文より抜粋
Ⓒ有限会社 下重暁子事務所
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書誌情報
紙版
発売日
1987年08月28日
ISBN
9784062034982
判型
四六
価格
定価:1,030円(本体936円)
ページ数
218ページ
電子版
発売日
2022年07月22日
JDCN
06A0000000000437355T
著者紹介
装丁: 鈴木 成一(スズキ セイイチ)