新美南吉童話大全

新美南吉童話大全

ニイミナンキチドウワタイゼン

「ごん狐」「おじいさんのランプ」「花のき村と盗人たち」をはじめ、新美南吉の不滅の童話43編、幼年童話47編そして興趣あふれるイラスト160点を全1巻に収録

昭和前期の敗戦近く、若くして去った南吉を思うとき「従来の文学は青春の所産であったが、その成熟期の到来はこれからだ」といった意味の宣言をした中村光夫氏(文芸評論家にして作家)のことばがうかんできます。それは生きながらえた者の願望なり希求の声として分からないではありませんが、人間の生涯における可能性の開花期が青春のものであるといった普遍の法則は、まちがいないようです。わたしたち文学志望の仲間のなかに新美南吉が登場した昭和初葉のころ、すでに没してからのちに陽の目を見た「全集」によって宮沢賢治の作品が声価をえた事績を考えると、、南吉の場合にしてもいわば賢治と対照されるかのように、優れた才能にとって読者にイマジネーションの余白を残して夭折することは運命の祝祭であろうか、などと思わずにはおれません――与田凖一


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書誌情報

紙版

発売日

1989年08月07日

ISBN

9784062044127

判型

B5

価格

定価:2,860円(本体2,600円)

ページ数

380ページ

著者紹介