正義と嫉妬の経済学

正義と嫉妬の経済学

セイギトシットノケイザイガク

嫉妬はしばしば正義の仮面をかぶって現れる。
経済行為があるかぎり、人は私利を追い求める。しかし市場経済は人類が作り出した他のどんな仕組みよりもわれわれに富と繁栄を与えてくれた。資本主義の誕生以来続く経済と倫理の対立を市場原理によって解決する画期的大著。

成熟した市場社会では、適切なルールを設定した上で市場に任せれば、大概のことは自由な競争を通じて解決されていくことが期待できる。その過程では多くの愚行や失敗があり、反則も出てくるであろうが、それらは結局排除され、淘汰されていく性質のものであるから、この小さな「悪」を一掃することを大義名分に掲げて、政治と行政が市場に介入し、市場の働きを歪めるというより大きな「悪」をつくりだすようなことはやめた方がよい。また、政治と行政が「弱者」の保護を仕事とし、そこから自らも利益を得ながらゲームを歪めていることも大きな問題であって、どのような歪め方をするのが正しいか、という方向で議論してもダメなのである。国家はそろそろ自らの「無能レベル」を認識すべきであろう。市場のゲームを管理する試みは、長い目で見れば成功したためしがない。――本文より


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書誌情報

紙版

発売日

1992年08月28日

ISBN

9784062051309

判型

四六

価格

定価:1,923円(本体1,748円)

ページ数

364ページ

著者紹介