
芸人魂
ゲイニンダマシイ
「マルセ太郎という芸人を御存知か。御存知ならば演芸の世界にかなりくわしいお方であろう。私が現在1番注目している芸人です」──色川武大
「色川武大さん、マルセが本を書きました。あなたの愛した芸人が、可笑(おか)しくて哀しい人々を鮮やかに書きました」──永六輔
ある月、お客が1人というときがあった。誇張ではなく、本当に1人なんだ。扉を開けてステージに出たら、たった1人の客がいた。誰かに侮られているような気分だった。それでも僕は何事もない風に、1時間半喋り演じた。演じる僕よりも、1人のお客さんの方が堪(たま)らなかったろう。有難う。いまもしこれを読んで、あのときの客は俺だよ、と名のってくれたら会いたい。──本文19ページより
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書誌情報
紙版
発売日
1991年11月15日
ISBN
9784062056779
判型
四六
価格
定価:1,980円(本体1,800円)
ページ数
324ページ
著者紹介
装丁: 鈴木 成一(スズキ セイイチ)