
円の総決算
エンノソウケッサン
デフレの時代に終止符を打つ
日本の地位が変わっても、円レートが変わっても、変わらぬ富の畜積がある。不況や失業に目をうばわれ、本質を見失ってはならない。常識ではわからない日本経済の深層。予見と示唆にあふれる画期的著作。
すべては変わった。しかし、輸出を減らすというきびしい局面にあることはたしかだが、日本にはこれまでの蓄えがある。1つは、過剰ともいうべき生産力だ。そしてもう1つは、1000兆円に達する家計の金融資産である。それらを今後いかに活用するかさえ考えればよい。答は意外なところに見つかるはずだ。
倒産と失業のない経済とは、投資リスクも信用リスクもない経済である。そのかわり、非効率な産業と企業の温存という高い代償を支払わなければならない。また、社会主義経済が国内の消費者を犠牲にして軍備の拡大を進めて破綻したように、日本経済は消費者の過大な負担のうえに、結果として輸入国の疲弊をもたらしかねない輸出向けの設備投資を、採算を無視して進めている。だが、社会主義圏にとって情報の自由化が政治・経済の自由化への第1歩だったように、日本経済にとっては、企業倒産の急増にみられるように、リスクの顕在化が自己責任の原則の前提として選択の自由を必要とし、あらゆる経済活動の分野にとめどない自由化を求める。もはや大半が消滅した含み益によって矛盾を糊塗できる状況ではない。──(本文より)
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書誌情報
紙版
発売日
1993年12月14日
ISBN
9784062064149
判型
四六
価格
定価:1,602円(本体1,456円)
ページ数
200ページ