誰が映画を畏れているか

誰が映画を畏れているか

ダレガエイガヲオソレテイルカ

映画百年を視野に交されたスリリングな対話。
人を「動き」へと誘っている映画のデタラメな勢いを楽しむ「贅沢」をたまにはしたいと思うのですが、どんどん閉じていくかにも思える映画はそれにしても疲れます。

「そして人生はつづく」がそうであったように、「忠次旅日記」の画面には、一瞬ごとに映画が露呈されていました。映画とは「動く絵」つまりムーヴィング・ピクチャーにほかならず、そのことがわれわれを「動かす」のだとしかいえない体験が、この2つの作品の撮られた歴史的な日付の隔たりをあっさり無化してしまったのです。この「動き」に積極的に加担すべく、われわれは映画館へとかけつけるという「運動」に――蓮實重彦

ごく「普通の日本映画」なんてやつには、いまや、めったなことではお目にかかれません。その寂しさを噛みしめつつ思うのですが、北野武の映画の衝撃性はまさにそのことと深く関わっているのではないでしょうか。……中略……北野武作品がいっさいを脱ぎ捨てて輝く「裸の映画」であることによって、ごろごろあっていいはずの「普通の日本映画」が見当らなくなっているという事実があらためて衝撃的に際立ってくる、と思われる――山根貞男


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書誌情報

紙版

発売日

1994年06月10日

ISBN

9784062068369

判型

四六

価格

定価:1,923円(本体1,748円)

ページ数

263ページ

著者紹介