反逆する風景

反逆する風景

ハンギャクスルフウケイ

北京でチェルノブイリでウガンダで……今、世界のいたるところで虚と実はひっくり返り、かくも狂気じみている。『もの食う人びと』の著者が、世界を旅する途次、見たものは何か。

もう、世界を偉そうに意味化して愚を犯すのはやめよ。風景のほうが往々、意味を排して狂気じみるのだから……「男根のある風景は、見る者に複雑な動揺を誘う、と私は思う。だがしかし、ダッカの湿った空に赤黒く筋張ったそれを突きたてている彼の全容も、あるいは素晴しい陽根そのものも、道往く人々の動揺どころか、関心も導かないのであった。彼も見られることをはなから期待してはいないふうに寝そべっているのである。奇矯が奇矯と認めてもらえない風景だって世の中にはあることを熟知しているかのように、無言で身動きせもず仰臥していた」──(本書「輝ける陽根」より)


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書誌情報

紙版

発売日

1995年04月06日

ISBN

9784062075299

判型

四六

価格

定価:1,495円(本体1,359円)

ページ数

254ページ

著者紹介