散歩道から

散歩道から

サンポミチカラ

文芸(単行本)

多摩丘陵の家から坂道を下りて散歩を楽しむ日々。妻と2人の暮しに見出すおだやかなよろこび。家族を想い、故人を偲び、故郷を懐しむ
確かな人生の美しさ

よく速足で歩くのがいいと書いてあるのをみるけれども、私はそうしない。自分の丁度いい速さで、ゆっくりと歩く。ときにはむしろ、とぼとぼといった方がいいくらいの歩き方をしている自分に気づくこともある。速足でさっさと私を追い越していく人がいても、気にしない。10年前の入院していたころ思えば、こうして歩けるのは何という仕合せであろう。先日、妻と駅まで用事で出かけたとき、道ばたに山あじさいが咲いているのを見かけた。2人、立ち止まって、眺めた。――本文より


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書誌情報

紙版

発売日

1995年09月14日

ISBN

9784062078351

判型

四六

価格

定価:1,708円(本体1,553円)

ページ数

232ページ

著者紹介