魔都上海

魔都上海

マトシャンハイチュウゴクサイダイトシノスガオ

誰も書けなかったカネと権力の百態百様
張りめぐらされた監視網、腐敗と拝金主義と差別の極みのなかで、人々は「豊かな中国人」へ盲進している。新聞に書けなかった迫真ドキュメント・28話!

上海は常住人口1350万人、流動人口300万人をかかえる中国最大の都市だ。ひしめく自転車、リヤカー、路線バス。大きな荷物をかかえたお上(のぼ)りさんたちが、ピカピカのリムジンでご出勤の「富裕階級」の豪華さに目を丸くする。夜の帳(とばり)がおりると、「香港を抜いた」とさえ言われるまばゆいネオンの繁華街は買い物の市民、観光客、物売りらでごった返す。上海在住の日本人は約3700人、日系進出企業は2400件、海外からの旅行者は年間100万人を超えた──。殺到する外資を貪欲にのみこみ膨張するこの街の正体はいったい、なんだろう。社会主義体制と保守的な体質が癒着して起こるさまざまな軋轢(あつれき)や「権力と金の取引」のありさまは、想像もできないスケールと激しさだ。「パンドラの箱」の封印が解かれ、飛び出した欲望の「悪魔」が理性と秩序の「希望」を追い散らしているような街──。(本文より抜粋)


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目次

プロローグ 「極東のパリ」の虚と実
第1章 「開放上海」の残された人びと
第2章 ここまできた権力腐敗と拝金
第3章 「血縁」の不可解な倫理
第4章 高消費社会と企業の悲哀
第5章 「大国・中国」が歪める開放
第6章 標的は日本人、そして

書誌情報

紙版

発売日

1996年03月06日

ISBN

9784062080781

判型

四六

価格

定価:1,923円(本体1,748円)

ページ数

362ページ

著者紹介