
がえん忠臣蔵
ガエンチュウシングラ
- 著: 羽山 信樹

斬新な感覚で破格の侍を描く衝撃作!
大石内蔵助はついにこの男の断念を知ることはなかった。侍の夢と心奥を鮮やかに描く傑作!
[本文から]──2月4日、赤穂浪士46人に切腹の命が下った。当日、新六は、その名を呼ばれ、おとなしく首の座に直ったが、そこで彼は、後世に残る思わぬ行動に出た。新六は、検使以下毛利家家士らの見守る中、いきなり双肌脱ぎになり、「おう、たでん坊の新の金太郎をよっく見ろい」一声叫ぶや、小刀を腹に突っ刺し、真一文字に掻っ捌いたのである。新六はそうして、間新六から「たでん坊の新」に立ち戻り、死んでいったのだ。新六の亡骸は、46人でただ1人義兄中堂又助のたっての頼みにより、その日のうち又助・はつのもとに引き取られ、築地本願寺に埋葬された。今日、泉岳寺の墓地には、だから間新六のみ、、その遺骸はない。
- 前巻
- 次巻
書誌情報
紙版
発売日
1996年04月12日
ISBN
9784062081535
判型
四六
価格
定価:1,602円(本体1,456円)
ページ数
246ページ
初出
『季刊歴史ピープル』1996年新春号一挙掲載