
警視庁刑事
ケイシチョウケイジワタシノシゴトトジンセイ
- 著: 鍬本 實敏

昔はですね、警察に協力すると見返りがあった。見返りというのは、たとえば交通違反などした場合、ある事件に協力して、そのとき知りあった刑事に連絡すれば、違反の紙を破いてくれる、といったような。人身事故とか重大事故は別として、スピード違反のようなものは被害者がいないわけですから。事件に協力したお礼に、免許証に署の警務係が署印を押すわけです。よく警察からもらった賞状は大事にしろ、というでしょう。軽微な違反を起こしたとき、賞状が物を言うわけ。1回だけ(笑)。今はもう駄目です。交通は交通、刑事は刑事ですから。交通はコンピューター処理だし。今しがた交通の罰金払ってきた人のところに、刑事が聞き込みに行ったって、誰が協力しますかね(笑)。昔は、警察はみんな一緒だと思っていてくれたんです。――はじめにより
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書誌情報
紙版
発売日
1996年10月17日
ISBN
9784062081825
判型
四六
価格
定価:2,030円(本体1,845円)
ページ数
290ページ